発達に凸凹のある子の子育て、
こんなことに困っています…
一緒に考えてみましょう!
第1弾は、「学校の宿題に取り組めない」。
※これまで私が経験した事例、相談を受けた事例から、個人が特定されないようにいくつかの要素を改変したり合わせたりしています
ひと口に「取り組めない」といっても、要素はいろいろ
まず、問題の切り分けをしていきましょう。
「宿題に取り組めない」のは、どういう状態なのか。それによって対処法もまったく異なります。
難易度が合っていない
やる気はあるものの、難しくて途中であきらめてしまう
通常の学級に在籍しているけれど、学習面で不安があるというお子さんの場合、クラスで出された宿題が、ちょっと難しい…ということがあります。
また、支援級に在籍しているお子さんも、交流級の宿題と同じものを出されることがあります。
低学年のうちは特に、交流級と同じ内容・同じ進度で学習を進めることがあるので、自然なことです。
ただ、お子さんによっては、難易度が合わなくなってくることがあるのも事実。
そんな時、最初はやる気満々でスタートしても、だんだんと
あれ…わからないな…
ということになってしまう場合があるのです。
そんな時はこうしよう
お家の方から見てあきらかにお子さんにとって難しすぎると感じる場合、率直にそのことを先生に伝えて良いと思います。
宿題は、必ずやらなければならない「義務」である
と考えると、いろいろ苦しくなります。
もしかしたら先生によっては、「絶対にお家でやってきてください!」という強固な考えをお持ちの方もいるかもしれませんが、結局のところやる・やらないを決めるのは各家庭、お子さん自身である、と考えていいのではないでしょうか。
同じく、「漢字のとめ・はね・はらいなどを厳しく指導され、なかなか○をもらえない」というお悩みもよく耳にしますね…
「どうせできない」と、取り組む気持ちになれない
最初は意欲をもって取り組んでいても、できない・解けないことが続けば、当然意欲は低下してしまいます。
「どうせできっこないよ」と、取り組む気持ち自体を失ってしまう状態です。
これがさらに続くと「学習性無力感」と呼ばれる状態になってしまい、「やる気が出ない」ということになってしまいます。
そんな時はこうしよう
個人的には、失敗体験を積み重ねるくらいなら、宿題自体をやめてしまえー!と思っています。
上記にも書きましたが、宿題への取り組みは義務でも何でもありません。
学校の先生に、「難易度が合っていないようなので、いったん別の課題で代替したい」と伝え、お家でオリジナルの問題(同じ単元で、かんたんにしたものや、問題の数を減らしたもの)に取り組んで提出しても良いと思います。
また、通常の学級に在籍していて、あまりにも宿題が難しすぎるという場合は、授業自体についていけていない可能性が高いです。
取り出し支援をお願いする、特別支援学級への入級を検討する、ということも視野に入れると良いと思います。
難易度が合っていないわけではないが…
量が多すぎて集中力が切れてしまう
ADHD傾向のあるお子さん、集中できる時間が短いお子さんの場合、多すぎる量をすべてこなすのは難しいかもしれません。
「最初の1,2問は普通に解けているけど、次第に体がモゾモゾ動き出したり、明らかに別のことを考えている様子になっている」という時は、このパターンが多いです。
そんな時はこうしよう
・3問、5問、10問で区切り「今日はここまで」とする。残りはあきらめる
・先生に相談し、問題の数を減らしてもらう
・細切れに取り組む
例:「帰宅して手を洗ったら1/3」「おやつを食べたら1/3」「朝、登校前に1/3」など
いきなり全部をやらせなければならない、と考えると、親子共に苦しくなるよね…
かといって、通常級でこれからも頑張っていきたいという場合は、ずっと「少しだけやればいい」という状態にしてしまうのも🔺。
少しずつ増やしていけると理想的です。
プリントが見づらい、取り組み方が難しいなどの問題
ディスレクシア傾向があったり、見え方が独特であったりするお子さんの場合、白黒で隙間なく印刷されたプリントなどに取り組むのはかなりきついかもしれません。
また、フォントや行間の問題もあります。
最近は学校で作成されるプリントの中にも「UDフォント」を使ったものが増えてきました。
しかし、まだまだ一部。
また、「新しく習った漢字を、漢字ドリルから漢字練習帳に書き写して練習」などは非常にハードルが高いです。
・該当のページ・該当の漢字を漢字ドリルから探し
・漢字を正しく漢字練習帳に書き写して
・その漢字を途中で変形させることなく練習し続ける
このステップをストレスなく、ミスなくできるお子さんはクラスの中で何割いるだろうか、と思ってしまいます。
そんな時はこうしよう
このタイプの宿題を出されていて、お子さんが困難を感じている場合、私が保護者なら、ある程度ストレスなく取り組めるところまではサポートすると思います。
サポートなしでやらせるよりも、多分お互いにストレスが少ないからです。
(正直めんどくさいですが…)
例えば、上記に挙げた漢字練習の宿題であれば、
・漢字練習帳に最初の1つを書き写してあげる
・それでも難しければ、一番下までうすく書いてあげて、なぞるだけにしてあげる
といったサポート。
プリントが見づらい、という場合は、
・別の紙やノートに行間を空けて書き写してあげる
・同じような問題で、もっと見やすいプリントで代替する
(ネット上に無料の問題がたくさんあります)
などのサポートが考えられます。
ただ、通常級では、提出する時にお友達と形式が違うのを恥ずかしがるかもしれません。
そういったお子さんの思いは尊重してあげたい…というのも、大いにあると思います。
プリントが読みにくい、また、音読で苦労している、などの場合は、このようなツールを使うことで少し改善される場合があります。
学習習慣ができていない
難易度やみやすさの問題と重複して起きている場合も多いですが、宿題に取り組むことに困難さがある場合、根っこはこの「学習習慣」もっというと「生活習慣」にある場合も多いです。
帰宅してからのスケジュールが定まっていない
「ただいま」と帰宅してから、お子さんはどんなふうに行動していますか?
以前このようなケースがありました。
帰宅→手洗い・うがい→おやつ→その時にやりたい遊びに直行(多くはタブレット)
(おたよりや給食で使ったはしなどをランドセルから出したり、
次の日の時間割をそろえたりするのは、保護者の役目)
ランドセルから宿題を発見した保護者が、
宿題があるみたいだよ!終わらせよう
と声をかけても、お子さんはもうすでに自分の好きなことに入り込んでいて生返事。
ここから宿題に取り組むのは至難の業です。
そんな時はこうしよう
このケースでは、
・帰宅してからの「行動の流れ」をつくる
・自分でできそうなことは自分でやる習慣をつける
ということを提案しました。
こんな感じで、帰宅後の手順書を使うのも一つの手です。
ラミネートしたり、A4のクリアファイルに入れたりして、右端の列にホワイトボードマーカーで花丸やチェックを入れていくと、どこまでできたのかが分かりやすいです。
※実際に使用する手順書では、お子さん自身の持ち物の画像、ご自宅の洗面所の画像を使うのがオススメです。
勉強以外にお子さんの心をつかんで離さないものがある
上記のケースのタブレットのように、勉強よりも魅力的なものがあると、
当然お子さんの心はそちらに流れます。
特に、目の前にそれがある状態で「がまんして宿題をしよう」と思えるお子さんはまれです。
大人だってそうですよね?
目の前に、スマホとお菓子と仕事の資料があったとして、
仕事の資料を「まず読んでしまおう!」と真っ先に手に取る自信がある方は、そう多くはないのではと思います。
私なら真っ先にスマホを手に取り、いじりながら、お菓子を食べます!
そんな時はこうしよう
・お子さんが宿題の前に「好きなもの」を手に取るという行動に、
できるだけハードルをたくさん設ける
たとえばタブレットが好きでどうしても帰宅後すぐに手にとってしまうような場合であれば、
・見えないところに隠す
・電源を切り、買った時の箱に収める
・お子さんの手の届かないところにしまう
・パスワードを設定し、保護者が解除しないと使えなくする
などが考えられます。
このあたりは、お子さんの状態像によってどの方策が有効か違ってきますね。
予告せずになんとなーく始めたほうがいいお子さんと、きちんと説明して本人が納得して始めたほうがいいお子さんがいると思います。
このあたりはお子さんの様子を見ながら、試行錯誤してみてください。
一度でうまくいかなくても大丈夫!まずは試してみよう
「やってみて本人がかんしゃくを起こしたらどうしよう…」
「うまくいかなかったらいやだな…」
そう思って、つい腰が重くなってしまうこともあると思います。
でも、試してみることに失敗はありません😊
だめだったら、「そっか、仕方ないね」と言ってその場は終わりにし、
あとでこっそりお菓子でも食べて気持ちを切り替えましょう。
そしてまた、思いついたことを試してみればよいのです。
応援しています!