危ない行動や、人・ものを傷つける行動、
衛生的に問題がある行動、ちょっと恥ずかしい行動など…
いわゆる「問題行動」っていろいろありますよね。
なんとか止めてほしい!
そんな支援者の思いは、なかなかお子さんには届かないもの。
注意しても聞いてもらえない
むしろ、逆効果になってしまう
そんな経験、ありませんか?
私も、ずいぶん失敗してきました。
第1回めの今日は、効果的な言葉かけについて。
・NGな言葉かけ
・OKな言葉かけ
について考えてみたいと思います。
言葉かけが一気に効果的に!?
ある行動を止めてほしい…そんなことは数多くあると思います。
でも、「ストップして~~~💦」という大人の思いは、往々にして伝わらない。
困りますよね…
でもその言葉かけ、ちょっとしたアイデアで、
一気に効果的になるかもしれません。
NGな言葉かけ「◯◯しちゃダメ」
問題行動が見られたときに、
「◯◯しちゃダメ」
「◯◯しません」
「◯◯しないでね」
と、「問題行動+否定語」で言葉をかけてしまいがちです。
「走っちゃダメ」
「お友達を叩きません」
「爪をかまないでね」などなど。
私も今まで、職場や家庭で何度この言い方を使ってきたことか…
でもこれ、実はNGなんです。
どうしてNGなの?
発達段階にもよりますが、多くのお子さんにとって、
否定語を聞いて禁止されていることを理解し、その行動をやめる
というのは非常にハードルの高いことです。
というのも、文章の最初に出てきた問題行動そのものが強烈にイメージされてしまうから。
「走っちゃダメ」と言われると、脳内では「走る」という行動がイメージされてしまいます。
「お友達を叩きません」と言われると、叩いてしまいます。
「爪をかまないでね」と言われると、つい手が口元にいってしまいます。
好きだから、感覚上の必要があるから、等々、その行動の動機が強ければ強いほど、
禁止語ではあっても、その行動を強化することになってしまうのです。
これは、明らかに反抗するつもりがなくてもやってしまいがちなこと。
大人から見ると、「ダメ」と言われたことをわざわざやっているように見えて、
ついイライラさせられてしまう…なんてこともあるかと思います。
代わりにこんな言葉をかけてみよう
「問題行動+禁止語」がNGなのはわかった。
じゃあどうすりゃいいの??
…って、思いますよね。
そんな時は、「言葉かけの変換」です。
代わりにしてほしい行動を伝える
これが一番です。
✕「走っちゃダメ」→◯「ゆっくり歩いてみよう」
✕「お友達を叩きません」→◯「お友達には、優しくタッチだよ」
✕「爪をかまないでね」→◯「折り紙やろうか」(別の行動に誘う)
※それぞれ、行動の背景に何があるのかによって、言い換えパターンはいろいろです
コツは「具体的で主体的な行動に変換して伝えること」
言葉かけの変換には、コツがあります。
それは「具体的で主体的な行動に変換して伝えること」。
たとえば上記の例で、
「走っちゃダメ」の代わりに、「止まってて」
「お友達を叩きません」の代わりに、「じっとしてて」
「爪をかまないでね」の代わりに、「手を下ろしていて」
では、うまくいかないと思います。
なぜなら、子どもが「やりづらい」行動だからです。
大変アレな例えですが、以前、「死体にでもできることは、子どもに指示するな」と教わりました。
「ただ黙っている」「じっとしている」「何もせず待っている」は、死体でもできます。
これを、生きている我々(特に子ども)にある一定以上の時間続けさせるのは、
大変なことなのです。
言い換えるときには、「生きていなければできない行動」にしましょう。
つまりは、「具体的で」「主体的な」行動です。
その子が嫌いでない行動であればなお良いでしょう。
そうはいっても、難しいよね…
大丈夫、慣れてくると、脳内で「否定語→別の行動の指示」に変換するのが早くなってきますよ。
おわりに
いかがでしたか?
言葉かけは、いろいろな支援の中でも、
・すぐにできて
・お金もかからず
・その場で、お子さんに合わせてできる
とても手軽な支援です。
ぜひ一緒に、言葉かけのスキルを高めていきましょう。