支援学校に入学を考えていたけど、地域の小学校の支援級もいいのかな…
支援級と支援学校って何が違うんだろう?
特別支援学校と特別支援学級。違いがわかりにくいですよね。
この記事では、以下について解説します。
- 特別支援学校と特別支援学級を選択する際の判断基準
- 特別支援学校をおすすめするケース
- 特別支援学級をおすすめするケース
前提として…あくまでケース・バイ・ケースです
こちらの記事にも書きましたが、「どのお子さんにも当てはまる判断基準」というものは存在しません。
最終的には、「うちは、こうする」という個別の判断になってきます。
その参考の一つにしていただければと思います。
特別支援学校・地域の小学校の支援級を選ぶ際の判断基準
以上のことをふまえつつ、ざっくりしたことを言うと、
お子さんに最適化した教育を優先するなら特別支援学校
インクルーシブ教育を優先するなら地域の小学校の特別支援学級
ということになります。
詳しくみていきましょう。
特別支援学校をおすすめするケース
お子さんに細やかな支援を臨む場合や、生活・自立面での困りごとが大きい場合は、特別支援学校がおすすめです。
身辺自立を重点的に指導してほしい場合
排泄や着替え、食事などに苦手さが多く、ご家庭で教えることに難しさを感じている場合は、特別支援学校での指導が大きな助けになるでしょう。
特別支援学級でももちろん指導してもらうことはできますが、優先度は少し下がる印象です。
お子さんの行動について、柔軟な対応をしてほしい場合
・こだわりや生活リズムの関係で、登校時刻を少し調整したい
・感覚過敏があり、衣服がかなり特徴的なものになっている
など、お子さんの特性や行動面でかなり配慮をしてほしいという場合、特別支援学校の方が、柔軟な対応が可能です。
特別支援学級では「ダメです!」と言われる、という意味ではありません。ただ、特別支援学級の場合は小学校のルール、小学校の時間割がベースになるので、そこからどのようにお子さんに合わせて配慮していくか、ということを一つひとつ担任の先生と一緒に考えていく形になります。
特別支援学校の方が、個々のお子さんやご家庭の事情に合わせるフットワークは軽いと感じます。
登下校が大変&特別支援学校のスクールバスに魅力を感じている
・決まった時刻に家を出て学校まで歩くことができるか不安
・公共交通機関に乗せることに難しさがある(いったん乗るとなかなか降りられない、バスの降車ボタンを押すことにこだわりがある等)
という場合、特別支援学校のスクールバスは心強い味方になります。
とにかくお子さんをバスポイントまで連れていき、バスに乗せることができれば、学校に着くのです。
ただ、そもそも検討している特別支援学校にスクールバスの運行があるのか、ご自宅からバスポイントの距離、ご自宅はスクールバスを利用できる地域に入っているのか、などは確認が必要です。
専門的な知識のある先生に相談したい
特別支援学校の先生が、必ずしも全員発達支援のスペシャリストであるかというと、そうは言い切れません。そしてそれは、特別支援学級の先生も同様です。
ただ、専門的な知識、指導のテクニックをもっている先生の割合は、特別支援学校の方が多い傾向があります。
また、自治体によって異なるようですが、特別支援学校には、「自立活動教諭」と呼ばれる専門職(作業療法士、理学療法士、言語聴覚士、臨床心理士など)が勤務している場合もあります。
加えて、発達支援について経験や知識が豊富な先生が、相談窓口の役割を担っているケースも多いです。
お子さんの発達で気がかりなこと、お家で教えようと思ってもなかなかうまくいかないことがある場合、特別支援学校では、専門的な知識をもつ先生からのサポートを受けられる確率が高いといえます。
煮え切らない書き方ですみません。私自身、すべての自治体について把握しているわけではなく、調べてもいまいち分からない部分がありました。
就学相談の時に、お住まいの自治体の特別支援学校について詳しく聞いてみると良いと思います。
地域の小学校の特別支援級をおすすめするケース
地域でのつながりを大事にしたい場合や、小学校での生活にお子さんが適応できる可能性が高い場合は、小学校の特別支援学級がおすすめです。
地域に友達や知り合いがほしい
地域の小学校で過ごすと、当然、同じ小学校に通う児童や保護者の知り合いや友達が増えます。
大きくなって進学先が分かれたとしても、近所で会った時に「○○ちゃんだね、覚えているよ」という関係性が続くことも期待できます。
親御さんも、PTAの活動に参加するなどして、学区の人脈を増やすことが可能です。
地域で生きていくにあたり、顔見知りがいる、友達がいる、というのは心強いものです。
また、
成人すると、この子は障害のある人として、通所施設などある意味閉じられた環境の中で生きていくことになる。子ども時代は多様な人と触れ合わせたい。
という親御さんもいました。
インクルーシブ教育の考え方に対する共感がつよい場合、特別支援学級の方がその色合いは濃くなると考えられます。
特別支援学校で学ぶ場合も、地域の小学校との交流の機会はあります。
ただ、回数や頻度は多くはないでしょう。
いわゆる「ふつうの学校生活」を経験させたい
小学校の様々な行事、学習、係活動やクラブ活動、委員会活動など…
一般的にイメージされる「小学校でのあれこれ」を経験できるのも小学校の特別支援学級の特徴のひとつです。
特別支援学校でももちろん行事はあるでしょうが、お子さん方の障害や特性に合わせてかなり柔軟に運用されたものになります。
一方、地域の小学校の場合、親御さんがイメージする「学校生活」にかなり近いものになります。
小学校を選ぶ親御さんの中には、「小学校の間だけでも、”ふつうの学校生活”を経験できれば」と考える方も多いです。
ただ、”ふつうの学校生活を経験する”ことにどのような意味があるのか、ということは、きちんと考える必要がある、と思います…。
ご家庭である程度の身辺自立トレーニングができそう
身辺自立に課題のあるお子さんが地域の小学校に行けないかというと、決してそんなことはありません。
車椅子など移動にサポートが必要なお子さん、食事や着替えに介助を要するお子さん、排泄が自立しておらずおむつを使用しているお子さんなど、多くのお子さんが特別支援学級で学んでいます。
むしろ、いろいろな自立度のお子さんが共に学ぶということには、障害のない子どもたちにとっても大きな意義があると思います。
ただ、学校生活の中で身辺自立のトレーニングをする必要があるという場合は、特別支援学校の方が細やかに指導してもらえる可能性が高いです。
逆にいうと、身辺自立トレーニングは家庭でやっていける、という場合は、学校生活ではそれ以外の部分に注力してもらえるということになります。
きょうだい児がいる場合の考え方
学齢期のごきょうだいが他にもいらっしゃる場合も、二通りの考え方があるでしょう。
・行事、送り迎え、提出物など、お子さんが同じ学校に通っている方が楽
・お互いが学んでいる姿を見合って欲しい
という場合は、一緒に地域の小学校に通うことがおすすめです。
一方、
と、あえて小学校を分けるケースもあります。
このあたりは、ご家庭のポリシーというか、子育てに対するスタンスが関わってきます。
いちがいに「どちらがいい」とはいえないことで、ご家庭で「これがベターではないか」と判断することになります。
おわりに
特別支援学級と通常級で悩まれている場合は、入学後に「やっぱりこちら」と変更することが比較的容易です。
一方、特別支援学校と特別支援学級の場合は、学校自体が別々であり、進路変更は難しくなります。
(特別支援学級から特別支援学校に転校…というケースは少数派なのです)
それだけに、迷われている場合は決断が難しいことと思います。
しかし、先の記事でも書きましたが、いろいろな情報をもとに、親御さんが「我が子にとってこれが最善ではないか」と考えて出した結論なら、それがベストなのです。きっと。
あとは、周囲の助けを借りながら、いかに「これでよかった」と思えるようにしていくか、です。
迷っている段階でできることは、できるだけ公平な情報を集めること。
この記事が提供できる情報も限られたものでしかありませんが、少しでも参考にしていただけたら嬉しいです。