発達障害のある子の問題行動 対応その③無視をする

行動問題

発達に課題のあるお子さんの問題行動を、

どうやって減らしていけばいいのだろう?

そんなお悩みをおもちの保護者のみなさん&支援者の方と一緒に考える

「発達障害のある子の問題行動シリーズ」その③です。

無視をする!?

「お子さんを無視しましょう」だなんて、

文脈によっては、なんて悪魔的な提案…と引いちゃいますよね。

でもこの場合の「無視」は、いじめや喧嘩の時に使われる「無視」とは異なるものです。

 

~夫婦喧嘩した翌朝~

おはよう。

怒りが収まらんわ。返事せんとこ。

↑※こういうのとは全く違いますのでご注意ください。

 

戦略的に、教育的に、そして計画的に使う「無視」だと解釈していただければと思います。

 

つまりこういうこと

ここでいう「無視」は、

ABA(応用行動分析学)の中では、「消去」と呼ばれる方法にあたります。

↓LITALICOさんのこの記事がとてもわかりやすかったです↓

発達障害の療育のベース「応用行動分析学(ABA)」とは?

 

「消去」の定義は研究者や本によって違いがありますが、

ごくかんたんにいうと、

問題となる行動に対し、その行動を減らすために、

支援者が反応をストップするということです。

 

お子さんに対して怒りの感情をもとに無視をしたり、

問題行動以外の行動にまで反応しない、というのとは、全く異なるものです。

無視にもコツがある

やり方を間違えると、逆効果になってしまうこともあります。

ここではコツをいくつかみていきましょう。

ターゲットとなる行動を明確にする

何をやめさせたいのか、具体的にしておきましょう。

「暴力的な行動をやめさせたい」と漠然と思っているより、

注意を惹きたくて、母親を叩く行動をやめさせよう」など具体的に考えた方がうまくいきます。

 

ちなみに、

明らかに危険な行動

(高い所に登る、刃物で遊ぶなど、すぐに阻止しなければならない行動)や、

その行動をやめるという発達段階にはまだ至っていない行動

(トイレトレーニングがまだ難しい段階でのおもらしなど)

は、「無視」してやめさせる、というのには適していません。

 

空気になることを心がける

ターゲットとなる行動を決めたら、その行動が出た瞬間、「空気」になります。

自分の気配を消すようなイメージです。

その行動をとっているお子さんから目をそらし、スッと自分の気配を消して、

まるでその行動がなかったかのように振る舞いましょう。

どうしていいかわからないときは、とりあえず家事をしたり自分の用事をするのがおすすめです。

 

「無視」といっても、

「知ーらない!」と言ってプイッと横を向く

などは、お子さんによっては新たな「反応」としてその行動を強化してしまう場合があります。

 

「消去バースト」があることを知っておく

この「無視」(消去)を行うと、

一時的にその行動が増える場合が多々あります。

「消去バースト」と呼ばれる現象です。

 

たとえば、あなたがエアコンのスイッチを入れたとします。

エアコンが反応しなかったら、どうしますか?

1回であきらめる人は少ないはずです。

多くの人は、「あれ?おかしいな」と、

何度かリモコンのボタンを押し続けてしまうのではないでしょうか。

同じことが、問題行動→無視 の場合にも起こります。

お子さんは、「あれ?大人が反応しないぞ、見えてないのかな?」と、

その行動を一時的に増やすのです。

そこで大人が「この方法はダメだったか!」と無視をやめてしまっては、

せっかくの試みが水の泡。

「そうか、これが消去バーストだな」とわかっていれば、落ち着いて無視を継続できます。

 

良い行動が出たら即座に無視解除!変わり身の速さが大事

大人同士のいさかいなどでは、無視解除のタイミングを逃してそのまま関係が壊れる…

なんてこともあるかもしれません。

しかし、この場合の「無視」は、人間関係を壊すためのものではもちろんないので、

テクニックとして使うことが大事です。

注意を惹きたくて、母親を叩く行動の時に無視をしたとします。

お子さんが、叩く行動をやめて、そっとお母さんに触れたり、

「ねえ、ママ?」と言葉をかけてきたりした時はチャンス。

即座に無視を解除し、とびきりの笑顔で

「なあに?」

「やさしくタッチしてくれたから、ママ嬉しかったな」

と、お子さんが喜ぶ反応を見せましょう。

それが、良い行動を「強化」することにつながります。

 

これ、私だけかもしれませんが、

問題行動が出るとつい腹が立つので、

その直後に良い行動が出ても

気持ちを切り替えて優しい笑顔を見せることが難しいときがあるんですよね…

でも、そこは「女優」(俳優)になり、無理やりでもいいので態度を一変させるのが吉。

アカデミー賞をとるつもりで、がんばってみてください。

 

無視のコツを身につけよう

いかがでしたか?

無視(消去)は、うまく使うと効果絶大です。

ぜひ、コツを身につけていきましょう。

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