保護者も支援者も、
どうしてもお子さんに対してイライラしてしまう場面があるかと思います。
そんな悩みにこたえる、「脱イライラ支援者シリーズ」2本目です。
「評価されたい」を捨てよう
私たちの多くは、
「周りの人に良く思われたい」
「いいフィードバックをもらいたい」
という、「評価されたい」欲求があります。
「承認欲求」ともいいますね。
仕事の上で良い評価をもらうことは、出世や収入アップにつながります。
しかし、そのような現実的な利益だけではなく、
自分のやっていること、あり方を、
周りの人に認めてほしい、ほめてほしい
そんな気持ちがあるのではないでしょうか。
逆に、自分のしていることを
批判されたり、けなされたりすると
とてもつらいと感じる人が多いだろうと思います。
この「評価されたい」という思い、
自分自身を向上させるのに役立つ側面もありますが、
イライラやストレスの元凶にもなりかねない厄介なものです。
たとえば、あなたが学校の先生や施設の職員さんだったとします。
「あの先生の指導はすごい」
「◯◯マジックだ」
もし、そんな風にほめられたら、正直気分がいいものですよね。
一方、担当のお子さんの問題行動が止まない、
そして、担当であるあなたの指示に、全く応じない。
そんな時、
「あの先生の言うことは、ちっとも聞かない」
「指導力がない」
「やり方が甘すぎるのではないか」
「子どもと信頼関係ができていないんだよ」
などという声が、周りから聞こえてきたら…
そう考えただけで、焦りや怒り、悲しみといった
負の感情を感じてしまうことがあるかと思います。
その「負の感情」の矛先がイライラとなって、
お子さんに向いてしまうことがある。
これは、誰しも覚えがあるのではないでしょうか。
私も長らく、親としても支援者としても、
この「評価されたい」という思いに苦しめられてきた一人です。
今、それがなくなったとはとても言えませんが、
少なくとも若い頃よりだいぶラクになってきました。
前置きが長くなりましたが、
いくつかの「コツ」をお伝えします。
自分の課題と他人の課題を分けて考える
これは「アドラー心理学」の考え方です。
かつてベストセラーになった『嫌われる勇気』、
お読みになったことがありますか?
もう何年も前になりますが、
この本との出会いは、私にとって大きなものでした。
本の中に、「課題の分離」という言葉が出てきます。
自分の課題と他者の課題は、分けて考えよう、
そして他者の課題には立ち入らないようにしよう、という考え方です。
誰の課題なのか?と、わからなくなった時には、
「その選択による結末を最終的に引き受ける人が誰か」という視点で考えると良いそうです。
この「課題の分離」、本の中では、
勉強しない子どもと勉強させようとする大人の話が例に出されていました。
ですが、私を救ったのは、子どもとの課題の分離というより、むしろ
「評価する”誰か”」と、
「行動する”私”」の課題を分離する、という考え方でした。
私は、自分の仕事(親として、支援者として)を一生懸命やる。
それを周囲がどう評価するか、は周囲の課題であって私の課題ではない。
そんなふうに考えられることが増えたのです。
不思議なもので、そう考えて行動すると、
むしろ周りからの評価は上がりました。
他人は、意外と自分のことはどうでもいい
2つ目は、人生全般に使える考え方です。
他人はあれこれ言ってきますが、
その実、あなたにそれほど興味があるわけではありません
(一部の例外除く)。
例えば、髪型を変えたとき。
「髪切ったの~?かわいいね!」と言ってくれる人もいるでしょうが、
多くの人は次の瞬間にその事実を忘れています。
なぜなら自分自身のことで忙しいからです。
ですから、あなた自身の力量ややり方について色々言ってくる人も、
基本的には「一番気になるのは自分自身」なのです。
もちろんお子さん本人やあなたの成長のために、
受け入れるべきアドバイスは受け入れたほうが良いですが、
必要以上に気に病まないことが大事です。
特に、責任のない立場から思いつきで放たれる言葉は
気にしないと決めておくのも一つの手です。
長期的な視点をもつ
3つ目は、「長~い目で見る」ということです。
昨年亡くなった小松政夫さんのネタでもありました、
「長~い目で見てください」。
(懐かしすぎるネタですみません昭和生まれなもので)
特に、子どもの育ちというのは、
その時には変化がないように見えても、
数カ月後、数年後に変わってくる
ということがあります。
「今すぐできるようにさせなければいけない」
という思考は、大人も子どもも苦しめます。
支援者として、今できることに
ベストを尽くさなければならないことはもちろんですが、
その一方で、
「今すぐできなくても大丈夫だよ」
「そのうちできるようになるといいね」
という、おおらかな気持ちをどこかでもっておくことも大事です。
「評価されたい」を手放すと、ラクになる
以上、「評価されたい」思いを手放すためのコツを3つお伝えしました。
少しでも、お役に立てたら嬉しいです。