こんにちは、たま@tama_tetoteです。
あの子、前触れもなくいきなりキレるから、一体どうすればいいのかわからないんです
うちの子、なんでもかんでも「ウザい」で済ませてしまって…
それ以外の感情ってないのかな?
前回、「環境調整」についてお伝えしました。
でも、私は見落としていました。
その前に解説しなければならない、とっても大切なことがあることを…
それは、「感情の自覚」。
今日は、発達障害のお子さんの「感情の自覚」についてお伝えします。
「感情の自覚」って、なんだ??
感情の自覚?
自分のことは自分がいちばんよくわかっているんじゃないの?
そう、私達はみんな、自分のことをわかっていると思いがちです。
でも、本当にそうでしょうか。
定型発達の大人であっても、
- ずっと気が張っていて気づかなかったけど、実は心身ともにすごく疲れていた
- 「大丈夫?」と友達に聞かれてはじめて、涙がぽろぽろ…そうか、私悲しかったんだ
とか、
- なんとなーく気になると思っていたあの人。よく考えたらこれって恋愛感情かも!?
なんて経験があるのではないでしょうか。
ドリカムの名曲「すき」にもありますね。
「そっか 私ずっと 泣きたかったんだ」って歌詞。
(歳がバレますね)
実は、私たち人間にとって、
- 自分の感情に正直になること
- 自分が「何を感じているのか」を自覚し、表現すること
ってけっこう難しいことなんです。
「感情の自覚」は、「自己理解」の一部でもあります。
発達に特性のあるお子さんにとってはなおのこと、「自分の感情を自覚すること」はものすごーく難しいです。
そして、「感情のコントロール」と、この「感情の自覚」は切っても切れない関係なのです。
この記事では、2つのケースを例に、
をみていきます。
そして、
- 「自分で自分がわからない」が積み重なるとどうなってしまうのか
- 逆に、自分の感情を自覚して表現できるようになると、どんな「いいこと」があるのか
そういったことにも目を向けていきます。
では、早速行ってみましょう!
ケース1「怒りがどういうものか」分からない子
あなたがスーパーのレジで並んでいたら、急に知らない人に横入りされた。
そんな場面を想像してください。
はぁ?なんで横入りしてくるの?んもー、イライラするな~
とか、
ここで何も言えない自分自身にもモヤモヤしちゃう。自己嫌悪だな~
とか、心の中で自分の感情を表現するのではないでしょうか。
そして、それをあとで家族や友達に話してスッキリする…、なんてこともあると思います。
この時、あなたは
と、いえます。
ところが、これができない子がいるんです。
キレて暴れた子に、あとから
あの時、どんな気持ちだったの?
と聞くと、
わかんない
という答えが返ってくることがあります。
あるいは、
お腹がモヤモヤした
顔が熱かった
と、身体的な感覚で表現することもあります。
↓
「カッとなったり、お腹がモヤモヤする感覚になる」
=「これが、怒りの感情なんだ」と自覚する
↓
「その気持ちを言葉や表情で表す」
という一連のプロセスをふっとばして、
「イヤなこと」
↓
(「身体感覚」)
↓
行動(暴れる、他害、キレる)
という手順をふんでしまうのです。
そんな子に対し、怒っている顔、泣いている顔、笑っている顔などの表情の絵カードを見せて
「その時、どんな気持ちだった?」と聞いても、うまく答えられないことがあります。
- 怒り、悲しみ、寂しさなどの感情が「ある」ことを知らない
- 自分の感情に「気づく」ことが難しい
- 自分の感情を表現する経験が足りない
など、いろんな背景が考えられます。
ケース2 ネガティブ感情が全部「ウザい」「ダルい」になる子
- ネガティブな感情の存在はわかる。
- でも、その感情がまだまだ「未分化」な状態で、言葉での表現も難しい。
そんなお子さんの場合、
という方法で、自分の感情を表現することがあります。
ちょっと~、宿題やったの?
そうママに聞かれたとき。
「今やろうと思っていたのに、どうしてこのタイミングで言ってくるの?
イライラするなぁ。信じてもらえないみたいで悲しいし。
やる気なくなったよ」
と、ここまで言語化できたら大したものです。
(こんな子、出会ったことないですけどね…💦)
「はぁ?これからやるし。ウザっ!」
とか、
「うっせーな。ダルっ」
こんな返事が返ってくる場合、ありますよね。
そんなお子さんは、ネガティブな感情が未分化なのかもしれません。
(あ、もちろん、単に反抗期だという場合もありますが……)
「ウザっ」「ダルっ」という言葉ならまだ良いのですが、言葉の代わりに暴力や暴言という形で表現してしまうこともあります。
逆に、このモヤモヤした未分化な思いを絵画や音楽といった「芸術」で表現できる方もいます。
そういった表現方法と出会うことができたら、強みになりますね!
さて、感情表現の仕方があまりにワンパターンだと、感情そのものも引き出しが少ないように見えてしまいますよね。
でも、「言葉で表現しない」=「その感情がない」、ではないんです。
お子さんなりに、内面にうずまいているいろんな感情はある。
でも、それがまだあいまいで、モヤっとしたかたまりでしかない。
自分の中で整理がつかないから、相手に伝えようがない。
また、相手に伝えるだけの「ことばの引き出し」を、まだもっていない。
その結果、
- 自分の抱えているしんどさや「こうしてくれたらいいのに」という思いを表現できず、いらだちを募らせてしまう
- 「どうせわかってくれないから、もういいや」と無気力になってしまう
ということがあるのです。
「感情がわからない」が積み重なると起きてしまう恐ろしいこと
このように、「自分の感情の自覚」ができていないまま成長していくと、どうなってしまうのでしょうか。
残念なことですが、積み重なると二次障害につながってしまうケースも往々にしてあります。
- 身体症状(腹痛、脱毛、発熱など)
- 暴力
- 暴言
- 他者とのかかわりに消極的になり、引きこもる
など…。
なんとかして、こういったことを避けたいですね。
「感情の自覚」ができると起きる、うれしい変化
いっぽう、自分の感情を自覚できるようになると、いいことがたくさんあります。
まず、心が安定します。
「そうか、ぼくはこんなことを感じていたんだ」とわかるだけで、落ち着くことがあるのです。
また、感情が自覚できるということは、「自己表現」のための大切な基礎。
「自分の感情がわかる」ようになったら、次のステップは「その感情を相手に伝える」ことになります。
暴れたり、叩いたりするのではなく、もっと平和的な方法で、自分のやるせない気持ちを表現できるようになるのです。
つまり、まわりの人といい関係がつくれるようになります。
まとめ~「今、どんな気持ち?」が言える子は穏やかに生きられる
ここまでをおさらいしましょう。
かんしゃくや暴力を起こしてしまいがちな子の中に、
がとっても難しい子がいる。
背景としては、
- 怒り、悲しみ、いらだちなどの「感情の存在」が実感できていない
- ネガティブな感情の存在はわかっていても、まだ自分の中であいまい
などが考えられる。
この状態を放置してしまうと、二次障害につながってしまうことも。
いっぽう、感情の自覚ができるようになると
という、嬉しい変化が起こります。
次回は、
について、いっしょに考えていきましょう。