こんにちは、たま@tama_tetoteです。
突然ですが、あなたのお子さんは健康ですか?
うちの子、発達に気になるところはあるけれど、別に病気でもないし、毎日元気に飛び回ってるよ!
これが「健康」ってことだよね?
もちろん、元気で疾病がないのは「健康」な証拠。
でも、それだけじゃないんです。
WHOによれば、
健康とは、肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病又は病弱 の存在しないことではない。
と定義されます。
「健康」の範囲には、からだとこころ、そして社会(人とのつながり)も含まれるんですね。
知らなかった~!
ここでは、
- 肉体的健康
- 精神的的健康
- 社会的健康
という3つの観点から、
を考えていきたいと思います。
発達障害児の「肉体的健康」
肉体的な「健康」を実際のイメージで考えると、たとえばこんな姿です。
- 睡眠リズムが安定してきている
- 偏食があっても、穏やかに食事がとれる
- 自分に合った服薬をすることができている
- 運動を嫌がらず、標準体重を大きく超えてはいない
睡眠リズムが安定してきている
最初は睡眠です。
発達が気になるお子さんにとって、睡眠はものすごく重要。
定型発達児の睡眠障害が9~50%であるのに対し、神経発達症(発達障害)のうち自閉スペクトラム症児では50~80%、注意欠如・多動症児では25~50%が睡眠障害を合併するとの報告があります。
毎日早寝早起きができてないとダメ!なんてことではありません。
- 乳幼児期と比べ、睡眠リズムが少しずつであっても安定してきている
- 夜中の覚醒が減ったり、入眠がスムーズになっている
などの手応えがあれば、それだけで十分及第点です。
反対に、
- 布団に入る時刻が、どんどん遅くなっている
- 夜型生活になり、朝起きるのが辛くなっている
というのは要注意です。
小学生の時点で「遅寝遅起き」の生活スタイルになってしまっている場合、それを思春期に修正するのは至難の業だからです。
偏食があっても、穏やかに楽しく食事がとれる
次に大事なのが「食」です。
偏食は過敏さなどとも関わってくるので、
「小学生のうちに好き嫌いをすべて無くそう」
というのは現実的ではありません。
嫌いなものは上手に残せれば、それでハナマル!!と、私は考えています。
嫌いなものが自分である程度自覚できて、パニックにならずに残せれば良いのではないでしょうか。
偏食は大人になっても継続する場合もありますが、食欲旺盛になる成長期に一気に好き嫌いが減るパターンもとても多いです。
「小さい頃は食べられるものがあまりなかったけれど、大きくなってからはずいぶんいろいろと食べられるようになった」
「小さい頃は食が細くてなかなか体重が増えず悩んでいたのに、中学生になってからは逆に太り過ぎが悩みになっている」
ということもよく耳にします。
「なんでも食べられる」ことよりも、
ということの方が、何十倍も大事です。
↓給食のお困りごとについても書いていますので、よかったらお読みください↓
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自分に合った服薬をすることができている
「服薬」も、発達が気になるお子さんにとってはとても大事なことです。
- 風邪を引いたり、お腹が痛くなったときに、苦労せずにお薬が飲める
- 錠剤や粉、シロップなど、「これなら飲める」という方法がある
そんな習慣が身についていれば、本人もお家の方もラクですよね。
同じく、診察や治療をスムーズに受けられることも、とても大事です。
特に耳鼻科や歯科は苦手なお子さんが多いもの。
「この先生ならなんとかガマンできる」
「この病院なら嫌がらずに通える」
そんな病院やお医者さんを見つけられたら、一生の財産になりますよ。
また、特性に応じて児童精神科などで薬を処方されているお子さんも多いでしょう。
自分に合った薬を、忘れずに上手に服用し、困り感をコントロールできると、それだけで人生の満足度はかなり向上します。
いずれにしても、
というのは、お子さんの健康を支える大きな土台の一つです。
運動を嫌がらず、標準体重を大きく超えてはいない
体重維持・運動習慣もとても大切。
うちの子、身長がなかなか伸びなくて…
痩せ型で体重が増えません
というお悩みをおもちのママ・パパがおられますが、成長と共に気にならなくなるパターンが多いです。
もちろん、治療が必要な低身長もあるので、心配な場合は受診することをおすすめします。
しかし多くの場合、気にかけるべきは「肥満」の方です。
- 好きなもの、本人が食べたがるものを際限なく食べさせてしまう
- 食べる時間帯が決まっておらず、ダラダラ食べが多い
以上のような食習慣が身についてしまうと、どうしても太りやすくなります。
その結果、体を動かすのがおっくうになり、ますます体重増加が加速するという悪循環に…。
育ち盛りの子どもにダイエットをさせるというのは、とても大変なことです。
ダイエットが必要になってしまう前の段階で、食習慣や運動習慣を改善できるのがベスト。
小学生の段階では、体を動かすことに意欲的であってほしいなと思います。
発達障害児の「精神的健康」
心の健康は体と同じかそれ以上に、QOLに直結します。
たとえばこんな姿が、小学生の段階での「健康」だと私は考えています。
- 自分の気持ちが、ある程度自覚できる
- 大人のサポートを受け入れることができる
- パニックになっても、落ち着くまでの時間が短くなっている
- 他害や自傷、物を壊すなどの方法ではなく、適切に気持ちが表現できる
自分の気持ちが、ある程度自覚できる
発達段階にもよりますが、
というのは、当たり前のようでいてなかなかできないことです。
「イライラします」
「ちょっと今、モヤモヤしてる」
というかんたんな表現で十分なので、表現できるといいですね。
大人のサポートを受け入れることができる
大人からの「大丈夫?」という言葉かけに応じたり、大人からのはたらきかけでクールダウンできたりするのも、大事なスキル。
学校の先生やスタッフとの信頼関係ができていると、いざという時のサポートをスムーズに受け入れることができます。
という経験を積み重ねるのは、とても大事なことです。
- 困ったときには、他人に頼っていい
- 大人に相談することで、物事が良い方向に向かう
このように考えられるお子さんは、ヘルプを適切に出せるようになるので、気持ちが安定します。
パニックになっても、落ち着くまでの時間が短くなっている
小学生のうちは、まだまだパニックも多いかもしれません。
パニックを完全になくそうというのは非現実的だと思います。
落ち着くまでの時間が以前より短くなっていると安心です。
反対に、パニックが激しくなっていたり、落ち着くまでの時間が長くなっていたりするのは黄色信号。
なぜパニックが起きるのかという要因を探ったり、お子さん本人にとって心地よい環境をつくったりすることが必要になってきます。
他害や自傷、物を壊すなどの方法ではなく、適切に気持ちが表現できる
- イヤだな
- 我慢できないな
と思うようなことがあった時に、その気持ちを適切に表現できる。
心理的な健康という面で、大事な指標です。
反対に、他害や自傷、物を壊すなどの行動が出ている場合は要注意。
そのような行動自体が「減少傾向にある」なら良いのですが、
- 以前と比べて、頻度や強さが変わらない
あるいは
- むしろ増えている、ひどくなっている
という場合は、何らかの支援を入れる必要があります。
小学生のうちは体も比較的小さく、大人が抑え込んで危険を回避することもできるかもしれません。
でも、お子さんはこれからどんどん成長します。
ということは、考えておかなければなりません。
このまま大きくなってしまったら危険だな…。
そう思うような行動が出ている場合は、早めに手を打ちましょう。
発達障害児の社会的健康
「社会的健康」って、聞き慣れない言葉ですよね。
WHOの定義では、「社会格差」や「ストレス」、「社会的支援」「交通」など10の項目が挙げられています。
この中で、小学生のお子さんにとっての「健康」を考えてみると、次のような項目になるかと思います。
- 学校や施設など、家庭以外の人間関係の中で安定して過ごせる
- 家族の一員として自分なりの役割を担い、安定して過ごせる
- 大人のサポートを得ながら、公共施設・公共交通機関を利用できる
- 自分の特性に合った公共サポートを得ることができている
ちょっと文言がお固い感じになってしまいました。
かみくだいて解説しますね。
学校や施設など、家庭以外の人間関係の中で安定して過ごせる
子どもたちにとって、家以外の場で人間関係を築くことはとても大事です。
これが、社会の中で生きる第一歩だと考えます。
友達がたくさんいて、楽しく過ごしている
というのも魅力的ですが、そうでなければならないとは思いません。
まずは、自分らしさを失わず、他人と共存できること。
お互いに不快な思いをせず、「ここにいていいんだ」と安心していられること。
それをめざしていくのが大切です。
家族の一員として自分なりの役割を担い、安定して過ごせる
家庭での過ごし方は、社会に出るための第一歩です。
小学校の段階では、特性の強さや障害の重さにかかわらず、
をもっていてほしい、と思います。
ひらたくいえば、お手伝いができるということです。
それも一時的なものではなく、毎日の習慣として当たり前に取り組んでいるということが大事。
なおかつ、家庭での心の安定も大事になってきます。
できるだけ安定しておうちにいられることをめざしたいですね。
もちろん人間ですから、兄弟げんかや親子げんかは当然あるでしょう。
泣いたり怒ったりすることも日常茶飯事のはずです。
ですが、基本的には「おうちは落ち着ける場所」であってほしいな、と思います。
それはお子さんにとってだけではなく、親御さんにとっても、です。
大人のサポートを得ながら、公共施設・公共交通機関を利用できる
社会で生きるということは、公共のサービスを利用するということです。
これも子どものうちに完璧をめざす必要はありませんが、だんだんと慣れていってほしいと思います。
失敗を繰り返して学ぶ、ということでもちろんOK。
- 図書館など公共の場では静かに過ごす
- 電車やバスのマナーを覚えて乗れるようになる
ということを、少しずつ身につけていきましょう。
こういうスキルは、大きくなってから必ず役に立ちます。
自分の特性に合った公共サポートを得ることができている
発達が気になるお子さんに対しては、さまざまな公共のサポートがあります。
それらを上手に使うことができれば、お金もかからず、お家の方にとっても役立ちます。
これも、「社会的健康」のひとつです。
まとめー発達が気になる子の「健康」
ここまでをおさらいしましょう。
健康の3つの側面、
- 肉体的健康
- 精神的健康
- 社会的健康
について考えてきました。
この3つは、たとえていえば三輪車の車輪のようなもの。
どれが欠けても、うまく走る(=人生を歩む)ことは難しくなります。
ここで気をつけたいのは、
だということです。
他人と比べて「これができていない」「あれがまだダメ」と悩むようなものではありません。
次回は、
発達障害児の健康をつくる要因
についてみていきます。