我が子に発達障害があり、自立して生きていけるのか将来が心配です…
子をもつ親なら、誰しも我が子の将来が心配なもの。
発達が気になるお子さんであればなおさらですよね。
この記事では、小学生のお子さんをもつ保護者の方に向けて、
について解説します。
小学生のうちからできる、就労に向けての準備もお伝えしていきますので、ぜひお読みください。
我が子に発達障害があっても、自立させるための心がまえ
発達に気になる点や不安があっても、自立して幸せな生活を送っている人はたくさんいます。
そのような人に我が子を育てるために必要なことは以下の2つです。
- 長期的な視点をもつこと
- 使えるリソースはことごとく使うこと
詳しくみていきましょう。
長期的な視点をもとう
小学生のうちは、いろいろなことが発展途上。
発達が気になるお子さんの中には、
- 偏食があり食べることもまだ上手ではないので、食事に時間がかかる
- 自立してトイレを済ませられず、まだ親が拭いてあげている
- 学校の支度が自分でできず、忘れ物が多い
というケースも多いのではないでしょうか。
将来、ちゃんと自立してほしい。
そう思えば思うほど、焦りますよね。
とはいえ、こんな関わり方をしてしまうのはNG。
一日も早く自立させなくちゃ。
食事のマナーを厳しくしつけるわよ!
トイレが自分でできないなんて恥ずかしい!
トレーニングがんばらせるぞ!
- 学校の支度は全部自分でやらせたい。
- できないときはキツく叱ってしまう…
お子さんの発達段階が「準備完了!」というところまできていないのに、ただただ厳しく接するのは、百害あって一利なしです。
お互いツラいだけになってしまいます…
反対に、「教えるのが大変だから、現状に目をつぶる」というのも心配。
食事中の立ち歩きが直らないけど、注意しても聞いてくれないし…
まあ、そのうち落ち着くのかな
ウンチのときに拭き残しがあるから、親が拭いてあげてる。
習のさせ方がわからないから、ずっとこれでいいかな。
学校の支度?本人にやらせようとするとかえって時間がかかります。
親がやった方が早いから、全部私がやってあげてます。
これらはすべて、問題の先送りです。
じゃあどうすりゃいいってのよ?
大事なのは、
です。
発達が気になる子の場合、教えたことがすぐに身につく場合と、ずーっとあとになって効いてくる場合があります。
どんなに伝えても言うことを聞いてくれない。もうやーめたっと
となる前に、
あわてず
あきらめず
という言葉を思い出して、今できることに集中していきましょう。
使えるリソースは全部使おう
発達障害の子を育てるのは、長い旅のようなもの。
とても、親御さんがすべてを担うことはできません。
という言葉があります。
- 上手に人に頼れること
- 感謝の気持ちを伝えられること
- 互いに助け合う間柄の人間関係を広げること
も、立派な「自立」なのです。
それはママ・パパだって同じ。
- 公的なサービス
- 学校や園の先生
- 親族や友人
頼れるものは、なんでも頼りましょう。
使えるリソースは使い倒す!くらいの気概でちょうどいいのです。
インターネット上のつながりも、大事なリソースのひとつ。
よかったら、私「たま」も使ってください。
子育てのお悩みや疑問を受け付けています。
こちらの「お悩みポスト」にご相談くださいね。
発達が気になる子の道しるべ 就労準備性ピラミッド
発達が気になる子、障害のある子が自立して幸せに生きていくために、道しるべとなるものがあります。
それは
というもの。
ここでは、
- 就労準備性ピラミッドとは?
- 小学生のうちからできることってある?
について解説していきます。
就労準備性ピラミッドって何?
安定した就労に向けて必要な準備を、ピラミッド状に示したものです。
幅のちがいが示すように、土台に近いものほど重要。
しっかりとした準備ができていないと、安定した働き方を続けることが難 しくなると言われています。
就労準備性ピラミッドの5つのステップ
下段から順に見ていきましょう。
心と身体の健康管理(病状管理)
- 食事や睡眠がしっかりとれている
- 過敏さがある場合、うまくつきあうことができている
- 自分の特性や障害を理解し、必要に応じて他人に説明できる
- 心の状態が安定し、必要に応じて受診ができる
- 適切に服薬できる
長く安定して働くには、心身の健康が何より大事。
健康を維持するのはもちろんですが、不調になった時に気づいて対応するスキルも必要です。
日常生活管理・基本的な生活のリズム
- 体調や季節、気温に合わせた服装の調節ができる
- 身辺自立ができ、清潔さを保つことができる
- 規則正しい生活ができ、遅刻や欠勤をしない
- 自分なりの余暇の楽しみ方がある
- 金銭管理ができる
この段階で最大の難関は生活リズムかもしれません。
決まった時刻に寝て起きて、遅刻せずに行動できれば、それは大きな強みとなります。
また、最低限の身だしなみや、一人で余暇を楽しめることも非常に大切です。
社会生活能力・対人技能
- 適宜質問ができる
- 感情をコントロールできる
- 他人と協調しながら活動に取り組める
- 困っている時に困っていると伝えられる
社会で生きていくためのコミュニケーションスキルが中心です。
自分の気持ちをコントロールすることに加え、分からない時に質問したり確認したりすることができるとGoodですね。
基本的労働習慣
- 報告・連絡・相談ができる
- 状況に応じた言葉遣いができる
- 就業規則を理解し、守ることができる
- 挨拶などの基本的なビジネスマナーを身につけている
社会生活能力・対人技能と近い内容ですが、さらに一歩進んで、「働く上でのスキル」になります。
職場独自のルールや雰囲気に対応できることも必要です。
職業適性
- 正確性
- 処理スピード
- 複数の活動を並行できること
- 職務遂行に必要な知識・技能
「就労のために必要なスキル」というと、一般的にはこのあたりをイメージする方が多いようです。
土台となる4つの段階で身につけた力をベースに、
- 自分にはどのような適性があるのか
- 何が好きで、何に興味があるのか
といった自己理解をすすめ、自分に合った職業を探していくことが必要です。
職業に応じたスキルも大切になってきます。
製造業であれば、手先の器用さ。
接客業であれば、笑顔やコミュニケーションスキル。
そしてIT関連であれば、コンピュータのスキルといった感じですね。
小学生のうちからできる、就労に向けての準備
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
もしあなたが小学生のお子さんをおもちでしたら、
こんなにたくさんの力を身につけなければならないなんて…
ハードル高いわ…
と、思ってしまったのではないでしょうか。
でも大丈夫。安心してください。
小学生の段階で、これらすべてを完璧にできる子なんていません。
順を追って、少しずつ、身につけていけばいいのです。
段階ごとにおおむね以下のようなことができればハナマルではないかと、私は考えています。
心と身体の健康管理(病状管理)
- 睡眠リズムが安定してきている
- 偏食があっても、穏やかに食事がとれる
- 大人のサポートを受け入れることができる
- パニックになっても、落ち着くまでの時間が短くなっている
- 自分に合った服薬の仕方を見つけることができている
日常生活管理・基本的な生活のリズム
- 体調や季節、気温に合わせた服装を受け入れられる
- 歯磨きや洗顔を嫌がらない
- 排泄の自立に向けて少しずつでも成長が見られる
- 夜は10時までに寝て、朝は7時までに起きられる
- 自分なりに楽しめることがある
社会生活能力・対人技能
- 他人を拒絶したり、他害をしたりせずに過ごせる
- パニックになっても、大人のサポートで落ち着くことができる
- 他人と同じ場所にいられる、一緒になにかができる
- 困っている時に何らかのサインを出せる
基本的労働習慣
- あいさつの練習ができる
- 「ありがとう」「ごめんなさい」が表現できる
- 「はい」「いいえ」が表現できる
- 学校生活のルールを理解し、守ることができる
職業適性
- 好きなことがある
- ある程度集中して取り組めることがある
- 学校での学習にいやがらず取り組める
それぞれの段階ごとに、これから詳しく書いていきますね!
お楽しみに(^^)
まとめ―発達が気になる子の自立に向けて
ここまでをおさらいします。
- 発達障害があっても、自立して生きていくことは可能。
そのためには、
- 長期的な視点をもつこと
- 使えるリソースは全部使うこと
がおすすめ。
長期的な視点をもつための道しるべとして
就労準備性ピラミッド
がある。
- 心と身体の健康管理
- 日常生活管理・基本的な生活のリズム
- 社会生活能力・対人技能
- 基本的労働習慣
- 職業適性
の5つの段階から成り、下段にあるものほど基本的で重要。
小学生のうちから、あせらず、あわてず・あきらめずに取り組んでいこう。
次回は、
小学生のうちからできる、心と身体の健康管理
について詳しくお伝えします。